
あの橋に会いに行く
元旦、竹島で初日の出を見た。竹島は三河湾に浮かぶ小さな無人島。長さ387mの竹島橋で本土と繋がっている。

なぜ初日の出を見る場所に竹島を選んだのか。他にも候補地はあったのだ。
もちろんすぐに行ける、ということもあるけれど、
最終的にこの地を選んだのは、私が未だ見ぬ竹島橋に会いたかったからだ。
加藤煙火は主催様から依頼を頂いて、昨年10月に竹島橋から花火を打ち揚げている。
打ち揚げるための申請手続きの中で、私は航空からの画像で竹島橋を見下ろしている。打ち揚げが終われば、花火の動画編集。動画の中で花火が夜空を鮮やかに彩る中、竹島橋の姿は暗くて見えなかった。だからこの日は「会えた!」という思いが強かった。

竹島橋が知っていること、知ってほしいこと
竹島の中心にある八百富神社で参拝を終え、陸地へ戻るために橋を通る。
観覧客の姿はもうまばらになっている。
私の中で竹島橋への思いが発動したようだ。(そういう癖があります)
ついさっきまでは初日の出の観覧客の足場に徹していたけれど。
島と陸の移動手段としてだけ存在しているわけでもないよね。

あの打ち揚げの日、橋の上には花火の込められたたくさんの筒が置かれて、そこから花火が夜空に飛び出していって。観客の誰よりも近くで見た花火を絶対覚えているでしょう?
これは知らないだろうな。私が花火を揚げるために作った申請資料。その地図上でピンを打たれたり、いろいろな色で線を引かれたり、ぐるぐると〇を描かれていたことは。あの花火はそういう過程を経ていたんだよ。
それからこれは絶対に知ってほしい!
加藤煙火ではもっとこうしたら花火の質が上がるのではないか、という会話が日々工場で交わされていて、竹島橋に揚がっていた花火はそんな情熱の結晶だということ。
誰もが「技術は確立されたから続けるだけでよい」とは思っていないこと。
打ち揚がったときの現象を見ているだけでは伝わらない、あの花火の背景。
めでたい元旦に来られたんだもの。工場で日々花火づくりに励む人の心は、きっと竹島に伝わったと思う!


執筆者:内藤みのり
加藤煙火入社1年目。花火師ではなく事務職。新潟県長岡市出身。2児の母。趣味はスポーツ観戦と読書。文章は日課の犬の散歩中に浮かんでくることが多い。
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