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CASE STUDIES & OTHERS

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花火大会が終わったその後は

  • m-naito5
  • 8月8日
  • 読了時間: 2分
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花火大会翌日の工場
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これは少し前、豊橋祇園まつり翌日。

静まり返った工場に筒がずらりと並んでいる。

豊橋の空を彩った花火は、この筒から飛び出していった。

仕事を終えた筒たちは、今はひっそり眠っているようだ。




花火の筒を洗う
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この日の仕事は、筒の中を洗うこと。

打ち揚げのときについたすす汚れを、高圧洗浄機で丁寧に落としていく。

なにしろすぐに次の現場が決まっている人気者たち。

また気持ちよく使えるように、しっかり整えていく。


筒の底ど真ん中を狙って、スナイパーのように姿勢を低く――ジャーッ!

側面の曲線にそって、ぐるぐるぐる。隣の筒にずれて、ジャーッ!ぐるぐるぐる。

同じ音を同じテンポで聞いていると、余計な思考が消えていく感じがして、なんとも心地よい。

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洗い始めは、真っ黒な水が溢れ出てくる。

花火当日の熱気がそこにまだ残っているようだ。


「わぁ、すごい――鳥肌立った!」

腕をさすりながらそう言っていたのは、当日花火を会場で一緒に見た仕事仲間。

彼女の作った花火もまた、スターマインの一部になっている。

その驚きと興奮の声が、また聞こえてくるような気がした。




そして次の現場へ

さらに水をかけ続けると、やがて水は透明になる。

筒が次の現場に向かう準備ができたことを、静かに教えてくれる。


この筒から打ち揚がった花火は、また別の会場で誰かの気持ちをパッと明るく照らしてくれる。

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執筆者:内藤みのり

加藤煙火入社2年目。花火師ではなく事務職。新潟県長岡市出身。2児の母。趣味はスポーツ観戦と読書。文章は日課の犬の散歩中に浮かんでくることが多い。



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