春を知らせる花火 打揚の現場では
- m-naito5
- 1 日前
- 読了時間: 3分


4月の土日、早朝から花火の音が聞こえてきませんでしたか。
多分神社だなと思われる方向から、ドーン。少し時間を空けてまたドーンと、時にはバラバラバラっと。
春は全国的に神社の祭礼シーズン。東三河のこの地域でも豊作や無病息災を願って、色のない音だけの花火(=昼玉)を打ち上げる神社が多くありました。
この昼玉を打ち揚げている方々(主に神社の年行司さんや花火の保存会の方)は、加藤煙火にも花火の玉を購入しにきてくれます。
実は花火を揚げること自体には特別な資格が要りません。敷居が低いからこそ、打揚に不安があれば安全に消費する方法をお伝えしています。これはその講習の様子。

打揚の手順
・筒の中に打ち揚げ用の火薬を入れる。
・吊り紐のついた花火の玉を筒内に下ろす。(衝撃を与えないようにそーっと)
・ロー火(タネ火)を筒にぽとんと落とす。
・花火が筒から勢いよく飛び出す
一番やってはいけないこと
何よりも危ないのが、「ロー火を入れたのに花火が出ない」と筒の中を覗き込むこと。筒の延長線上に手を伸ばすのももちろんダメ。その瞬間に花火が飛び出して、大けがをする可能性があります。花火玉自体には推進力はなく、揚げ薬の爆発エネルギーのみで上空高くまで揚がるため、この瞬間の威力は相当のものです。
チーム連携+個々でも責任を持つ
通常打ち揚げはチームで行います。ただし打ち揚げ筒に玉を入れる場面では、個人が一貫して管理する方が安全。
Aさんが打ち揚げ→次に同じ筒を使うBさんのために花火玉をセットしておく。
Bさんがそれを知らずまた花火玉をセットしてしまったら・・・
筒の中には玉が2個。上の玉にふたをされている状態の下の玉は、行き場を失って筒の中で爆発します。
万が一の暴発に備えて、筒と自分の間に畳を防護板として設置し、点火したらすぐに低い体勢を取ります。ヘルメットと燃えにくい素材の衣類を身に着けて、常に身を守ることを意識しながらの作業です。
音の向こうにいる人
朝早くから花火の音が聞こえたら、その方向に意識を少し向けてみてください。
音も一様ではありません。号砲は空を揺るがすように大きく1発、三段雷(さんだんらい)は時間差でダンダンダンと3回。バラバラバラッっと聞こえたら、それは玉の中のらっきょが次々に爆発している雷(らい)。

そして、その音のたもとには、安全を遵守しながら地域のために筒に玉を込めている方々がいます。実際に揚げ手の方を目にすることはなくても、耳にした花火がどんなところから飛び立ったのか想像しながら、季節の移り変わりを感じるのもいいかもしれません。

執筆者:内藤みのり
加藤煙火入社2年目。花火師ではなく事務職。新潟県長岡市出身。2児の母。趣味はスポーツ観戦と読書。文章は日課の犬の散歩中に浮かんでくることが多い。
Comments